2023年10月21日・24日、多国籍の即興アーティスト3人(加藤文子、セバスチャン・ストリニング、フランツ・ロリオ)で結成された「Suzuribako」の日本ツアーにゲスト出演しました。
このお話をいただいたのは2023年4月のことでした。シカゴ在住でダンサー、振付家の加藤文子さんからメールをいただいたのが始まりでした。
海外のダンサーさんからこのような話があるはずはない!実は最初は何か怪しいメールではないかと疑ったほど、自分にとってはあり得ないような出来事と感じました。
何しろ文子さんとは一度も面識がなく、どのような方か全く知らなかったのです。文子さんはホームページで私の存在を知り、即興表現に対する取り組み方に共感してオファーしたと後に語ってくださいました。
何度もメールのやり取りを繰り返した後、盛岡公演と渋谷公園通りクラシックス公演にゲストとして出演することが決定。
10月21日、盛岡公演の会場は盛岡市バスセンター3階にある「Cafe Bar west38」。本番3時間前にSuzuribakoの皆さんが到着。初顔合わせとなりました。盛岡公演には信頼厚い秋田市在住のドラマー・パーカッショニストの金澤良平さんもゲストとして盛岡入りしました。
私と良平さんのセッションから始まり、Suzuribakoのパフォーマンス、全員でのセッションとつながる構成。
文子さんの踊りは人間の存在、生命力を感じさせるような魂が宿った動き。一つ一つの動きに意味が込められているよう。そしてセバスチャンとフランツの演奏に予想を大きく覆されることに。本来私たちが知っている音の出し方は一切しない。リズムもなく、奇妙な音が空間に響き渡る。衝撃や違和感、それに対して自分が理解できる枠でしか物事を捉えられていないのではないか…という葛藤。よく考えると音にも様々な感情や演奏家の個性が宿るのは当たり前。いつの間にかどう理解するかではなく、そこで起こっていることを素直に目撃しようという気持ちになっていたのですが、Suzuribakoの即興表現には凄まじいインパクトがありました。
5人全員でのセッションはその世界に自分も飛び込むことに!色んな感情や感覚が体中を駆け巡り、集中力と神経を最大限研ぎ澄まし踊りました。
多くのお客さんに足を運んでもらえたことが嬉しかったし、前衛的な海外の即興パフォーマンスが盛岡で開催できた意義は決して小さくないと思いました。出演した自分も大きな衝撃を受けた一日となったのですが、何が起こるか分からない即興ならでは醍醐味なのだと思います。
24日の会場となる渋谷公園通りクラシックスは、かつて東京でダンス活動をしていた時にお客さんとして訪れた場所。まさかそこで自分が踊ることになるとは…感慨深い気持ちになりました。
この日はゲストとして筝奏者の八木美知代さん、打楽器奏者の山岸直人さんが加わりました。
私を含めたゲスト三人でのセッションは全てが新鮮。聞いたことがない音、会場の雰囲気、東京のお客さん、様々な刺激に身体でどう反応するか試されている感覚になりました。
戸惑う瞬間が何度も訪れる度に瞬間的な身体の選択を行いました。そこには思考が入り込む余地はありません。即興で養ってきた身体的な経験が自分の選択を助けてくれます。こんなスリリングな瞬間を時に楽しめる自分がいることにも気づき、それはこれまでになかったことかもしれません。経験は大きい。
4年振りに東京で踊ることができたことが嬉しく、また久しぶりに自分の踊りを見てもらえる再会の機会になったことも喜びの一つでした。
Suzuribakoのツアーにゲストとして出演できたことに感謝。
これからも自分が探求してきた道を歩み、発展させていこうと思います。
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